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M!プロデューサー対談~初演から現在まで~覚書①

ミュージカル「モーツァルト!」遂に終わってしまいました…(;_;)

ゆんの演じるヴォルフガング、このカンパニーの創り出すM!の世界が本当に大好き過ぎたので、終わってしまった今、本当に盛大なロスに陥ってます…(´-ω-`)

その感想はまたゆっくりまとめるとして。

今回名古屋遠征するにあたり、とても素敵な情報を入手したので、こちらへ行ってきました↓↓↓

 

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中日文化センターが主催して行われた、東宝プロデューサー・岡本義次さんと篠崎勇己さんのM!初演から現在までについて対談です。

私はこの日のM!マチネ観劇予定でしたので、夜なら行ける!!!と早速申し込みました。

篠崎さんは、「気鋭のミュージカル俳優たち」というムック本でゆんについてコメントを寄せてくださり、「古川雄大の歴史の3大どん底シーン」*1という名言を残してくださった方です(笑)

ゆんのことをよく知ってくださっている方と思うので、そりゃまぁ期待しますよね(^_^;)

結果、ゆんの話はあまりなかったです。でも、とても興味深いお話をたくさん聴けてすごくおもしろ楽しかった♪

途中、初演からずーっと出演しているセシリア役の阿知波悟美さんがゲストで登場するなどうれしいサプライズもあり、初演時の貴重なお話も聴けて良かったです。てか、阿知波さんとてもスタイル良くてお綺麗でした☆

今回結構頑張ってメモしたので、覚書残しておきます。

 

・今回の講座は北は北海道から南は沖縄までの201人の申し込みがあった。(沖縄はきっと私のことw)

・中日文化センターの講座の最高は井上芳雄さんの講演の200人だった。それが今回このおじさん2人の対談に芳雄さんの講演を上回る人数で一体何を期待しているのか不思議でしょうがない。今度芳雄に会ったら自慢してやろうと思うw

(M!について)

・初演は日生劇場梅田芸術劇場ドラマシティで公演を行う予定にしていたが、それだけでは赤字になるということで後から帝劇公演を加えるという珍しい公演形態になった。

・通常は東京帝劇から始まるのが多いが、様々な事情で地方から始まることもある。

・9月から始まるマリーアントワネットも本来は帝劇からスタートする予定だったが、様々な事情により博多座スタートになった。

・公演時には、キャスト以外に関わるスタッフもたくさんいる。MAの場合は230人くらいいるスタッフが長い期間常駐しないといけないため宿泊先の確保が大変。

・2002年の初演から今回で6演目。6演目にして舞台セット、演出を大幅リニューアル。

(M!上演するきっかけ)

・M!を日本で上演するきっかけは、2000年に上演した「エリザベート」の成功があったから次の作品につながった。

一路真輝さんの新曲をリーヴァイさんへ依頼しにウィーンへ行った時、ちょうどM!をやっていた。(小池先生も同行)当時、クンツェ&リーヴァイの円熟期で作品にも力が入っていた。M!を観たとき、言葉はわからないが曲がとても良かった。演出がハンガリーの方でエリザベートの演出もされていた方だった。M!は本がしっかりしていて、芝居の材料が全て詰まってる。父と息子の親子関係、恋人との恋愛、夫婦関係、上司との関係、夢を負う若者の成長、挫折、等々。小池先生もノリノリで上演を望んだ。

(キャスティングについて)

・すぐに決まったのはコロレド大司教山口祐一郎さん。

ウィーン版で演じていたのがヨーロッパミュージカルの大スター・ウベ クルェゴさん。初演エリザでトート役、レベッカのマキシム役等演じており、同じく日本ミュージカル界の大スターで同じくトート、マキシムを演じていた山口祐一郎さんしかいないと迷わず決まった。

モーツァルトの父・レオポルトをウィーン版で演じていたのはこちらもヨーロッパのミュージカルトップスター、トーマス・ボルヒャート氏(モンテクリスト伯等)。日本では市村正親さんがイメージが近いと思い、岡本さんが市村さんに「主役じゃないけどやってみませんか?」と直接交渉してOKをもらった。

(主役・ヴォルフガングの人選について)

・若い人で少年の匂いがしないといけない。

・市村・山口が両側にいれば主役のヴォルフガングが新人でも興業は成り立つと考えた。

・コンスタンツェは、当時大人気だった松たか子さんに「ダンスはやめられない」を聴かせたら「ぜひ歌ってみたい」と言ってくれたので決定。

・ナンネールも当時人気のあった高橋由美子さんに交渉したらOKもらえた。

市村さん、山口さんに加え、知名度の高い松さんや高橋さんも決まったので、主役は新人でいくとなった。

・1人は、エリザベート初演で皇太子ルドルフを好演した井上芳雄さんがまず決まった。

エリザベートで、一路さんや高嶋政宏さんがシングルキャストで体力的にとてもキツイということもあったので、ヴォルフガングはWキャストでいくことにした。

・もう1人がなかなか決まらず、小池さんも一緒に相当数のシンガーの歌を聴いて探しまくったがなかなかこれという人がおらず苦戦していた時に、偶然深夜番組のテーマソングであっきー(中川晃教)の歌を聴き、後日スタジオまで歌を聴きに行った。そこで楽譜を渡して歌いに来てとオーディションの誘い。

ただ、あっきーはその当時はシンガーソングライターとして活動しており演技経験が全くないから大丈夫かなというのはあったが、結果的にあっきーにたどり着いた。

(内容について)

・ウィーン版と日本版では内容がかなり違う。

小池先生が父と息子の話に焦点を定めた。

・ウィーン版以外にハンブルク版を観たときに、シカネーダーのソロ(ちょっぴりオツムに~)がなくなっていて焦った。なぜなら、すでに吉野圭吾さんに出演を約束していたから。慌てて日本版ではそのシーンは取り入れるようにお願いした。

《余談》ハンガリーと韓国は勝手に(脚本の内容を)直すからクンツェ&リーヴァイはいつも怒っている。普通内容を変更したい場合はウィーン側に交渉し許可を得なければならない。その点、小池さんは何故このシーンが必要なのかこうしたいのかの説明が上手い。

小池先生の考える世界というのがあってそれを採用してもらうのに抵抗したら、OKもらえるまでメール攻撃がスゴい(笑)とてもしつこいからそのうち「もう小池さんの好きなようにやってください」ってなる(笑)

・今回セットを変更したいと言ったことについてはあまり抵抗しなかった。実は前回までのセットは4演目で金属疲労等により使えなくなり5演目(2014年)の時に全く同じものに作り替えていた。だからまだ1度しか使ってなかった。で、今回セットをリニューアルすることになったがなかなか決まらなかったり、小池さんのことだからまた元に戻すと言いかねないwということで、前回のセットは保管するための倉庫代などもかかるが取っておいた。つい先日の8/9にもう変わることはないだろうということで処分した。

(小池先生のオリジナル演出)

魔笛を作曲している東屋のシーン→小池先生が松コンスを見せたい為に作ったシーン(笑)でもこのシーンが加わったことによって、ヴォルフとコンスの夫婦関係が修復できないものになったと印象つけるものになった。

・レクイエムの作曲依頼にくる人物を市村さんにやってもらったこと。

これはウィーン版等では特に意味を持たせてなく誰がやっても良かったが、日本版ではヴォルフガングの父役である市村さんがその人物を演じることで「父親」かもしれないと匂わす演出意図。この演出にはクンツェ&リーヴァイさんも大絶賛だった。

・ヴォルフガングが死ぬ前に「僕こそ音楽」をもう一度歌うこと。

・最後死ぬときにヴォルフとアマデが折り重なるように死ぬところ。

ここは、ウィーン版ではアマデがピアノの下にもぐったままで終わるらしく、小池先生がその演出は変だって納得がいかなくてずっと怒っていた。だから、最後にアマデがとうやって死ぬかを試行錯誤した結果、あの終わり方になった。

 

→この話聴いた時には、小池先生のスゴさをあらためて感じましたよね。これら↑のシーンはどれも重要でとても印象深い所になってるもの!それがまさかの小池先生オリジナルとは驚き!

 

ここで一旦切りまーす。②へ続く。

 

 

 

 

 

 

*1:「古川雄大の3大どん底シーン」とは、篠崎氏曰く、「古川雄大は情けない切ない状況をやらせたら右に出るものはいない」という評価のもと、1.ジュリエットが死んだと思った時のロミオ、2.革命にやぶれたルドルフがエリザベートに助けを乞うシーン、3.ペイロール伯爵に踏まれるロベスピエールの3つを3大シーンとしてあげた